金髪ヤンキーさんは、準備室のドアを蹴って開け、あたしを抱えたまま、広い階段をすばやく下りた。


「少しの間、我慢しろよ。
おまえの、そのふにゃふにゃの足で歩くより、俺が抱えて走ったほうが、数倍早く桜花に帰してやれるから」


「……え?」


この人、なにを言ってるんだろう? と、思った。


あんな……いくら成り行きとはいえ、助けてくれた人に……。


『あたしに……。
触らないでくださいっ!!』


『おと……おと……。
男なんて、大ッキライ!!』