紅葉はずんずんと門を出て帰ってしまった。 でものえるは帰ろうとせず、じっと私を…きれいな笑顔と共に見つめていた。 もちろんじゃない。 小さいころから着物をたしなみ、十分なマナーを教え込まれたんですから。 一歩ずつ、 確実にのえるは私に近づいて来る。 でも忠良は私の前に立って私をのえるに触れさせないようにしていた。 「護衛さん、退いてくれないかな?大丈夫、姫に何もしないから。」 「忠良…」 距離はだんだん縮まっていった。