あたしは、屋上のフェンスから身を乗り出した。


地上が遠い。


コワイ。コワイ。コワイ。



ぐっと目を瞑った。

唇を噛みしめると、かすかに血と涙の味がした。


ふわっ───


(あ……)


ぱっと目を開けると、目の前は空の蒼でいっぱいだった。



爽快感すら感じた。



仰向けのまま地面へと落ちていくあたし。

もう、どうにでもなればいい。

そう思った。



その時、スローモーションでふわふわと飛んでいくあたしの耳に、聞き慣れない声がした。


「鈴音(りおん)……」


あたしの名前を呼ぶ。


「鈴音…鈴音…」


悲しげなその声。


「龍宋(りゅうそん)……」


龍宋…?

え…?あたし…を言ってるの?


「龍宋っ!!!龍宋っっ」


勝手に口が動く…っ


龍宋って……何?



そう思った瞬間、辺りが突然光でいっぱいになった。


「わぁ!ま…ぶし…」


なに…これ…?