「久しぶり。塾?」
「おー、ノリだ。塾塾、でもちょっとズルして早めに抜けてやったんだー」
「大丈夫かよ受験生」
駆け寄ってきた百瀬はほっとかれ、彼女は野々宮と話している。
荷物を受け取って、つゆの器を渡している百瀬が可哀想に見えるのは千鶴だけだろうか。
「タツ、あの子は?」
脚立の横でそうめんの器を抱きしめるように持っている千鶴に彼女が気づいた。
たぶん、タツというのが百瀬のあだ名だろう。
百瀬と目が合って百瀬は明らかに表情が変わった。
やっちゃった、と言わんばかりの顔だ。
野々宮も千鶴の持っている器に気がつき、百瀬を小突く。
「あんたちゃんと見て? 千鶴ちゃん可哀想でしょうが!」
「ごめん、ほんっとごめん!」
慌てて飛んでくる百瀬の顔が必死すぎて可笑しい。

