そんな千鶴がいつものように1人で帰ろうとしたら
昇降口のあたりで聞き覚えのある声に呼び止められた。



「千鶴ちゃん」


振り返ると、やっぱり


「野々宮先輩」


にっこりと笑って片手を上げている野々宮 真紀だった。

前に千鶴の靴箱の前で野々宮が寝ていた時から
なぜかよく話すようになっていた。



「今日も暇?」


「“も”って言い方なんか失礼ですよね
暇ですけど」


「じゃ、行こうか」


「……はい」