「野々宮先輩、女の人の曲もいけるんですね」
「俺わりと声高いからね」
「カバーアルバム出してくださいよ、買いますから」
「出さないよ! 下手の横好きって言うでしょ?」
「好きこそなんたらって言うのもありますよ」
「なんたら、ってさ、そこ一番重要だから。ぼかさないで」
いつもの放課後、千鶴はまた部室に顔を出していた。
小山に話を聞いてもらってから一週間ほどたっている。
ちゃんと見られる、と言ったくせに、結局あの後初めて顔を出したのは二日後だった。
二日たって、恐る恐る部室に入った千鶴に野々宮は、体調が悪かったのか、と聞いたのでそういうことにしている。
実際、色々重なって寝不足で体調も良くなかったので嘘ではない。
部室に来られなかった理由には全く関係がないことも事実だが。

