「そんなに、わかりやすいですかね」
きっと、小山より鋭いであろう野々宮は感づいてしまっているのではないか。
不安で仕方がない。
「あー、ノリは鋭いからね気づいてるかもしれないけど。
少なくとも俺は、まだノリが気づいてるとは聞いてないよ」
それに、と小山は続ける。
「ノリは気づいてても、気づいてることを千鶴ちゃんに気づかせないくらいのことは難なく出来る人だから。
気にしなくていいんじゃない? ノリは勝手に気まずくなったりしないよ」
こっちが聞きたくて、だけど口に出すのをためらうことを小山はさり気なく教えてくれる。
その、何気ない優しさが心地よかった。
「今日教室で、友達が野々宮先輩のこと話してたんです。
ライブデートとか、面食いとか、可愛い彼女がいるとか、
電話盗み聞きまがいのことしてるし、勝手に人のプライベート想像して盛り上がったり、そういうの、嫌なんです。
しかも野々宮先輩のこと……。
こんなによくしてもらってるのに、千鶴は何も言わなかったんです。黙って、聞いてるか聞いてないかわかんないような顔しかしてなかったんです。
そんな自分が一番最低で……。
だから今日、ずっと後ろめたくて、先輩たちの前でもしけた顔しか出来ないし、本当申し訳なくて」

