「そんでそんで? お電話が何なの」
「ユウ、って言ってたの、お相手のこと!
下の名前だよー? もうこれ決定でしょう!」
「決定ですねぇー。キャーッ羨ましー」
田中先輩の下の名前がユウなのか何なのか千鶴は知らないが、決定らしい。
野々宮がライブデートをしていたことは。
せっかくの美味しいお昼ご飯の味がしない……と思ったが味はちゃんと美味しかった。
ただ、この場の雰囲気にも美味しい昼ご飯にも合わないのは千鶴の気分だけだった。
こういうときに、表面だけで笑っている顔はもしかしたら野々宮の笑顔に似ているのかもしれない。
もっとも、良くも悪くも感情の起伏が穏やかな千鶴が愛想笑いをしなければならないほど雰囲気に合わない顔をしていることは珍しいが。

