「千鶴ちゃん? 聞いてるー?」
「あ、ごめん」
「もう、天然ー! 時差あるよこの距離で」
天然とか、そんなんじゃない。
でもそれを口に出すのも面倒だった。
「ちゃんと聞いてたよー。
ライブって土曜?」
土曜だったら一緒にいたのは千鶴だ。
その子の勘違い。
それで一応安心出来るはずだった。
「ううん、日曜だったよ」
笑顔で返されて、返事の言葉が見つからない。
結局曖昧に笑って誤魔化した。
会話に積極的に参加しなくても盛り上がっているのを壊さなければ何も気にかけられない。
少なくともこのグループで千鶴の位置付けはそんなもんだった。