「さて、そろそろ平気かなあ小山さん」
「平気です……。小山さんではないですけど」
さすがにここまで行くと小山以上のような気もしてくる。
そんな自分がかなり情けなかった。
「まあ今日は楽しい日だから楽しく行こうよ」
「そうですよね」
若干テンションは下がり気味だが、野々宮は楽しそうなので千鶴も笑顔になってきた。
「やっぱし千鶴ちゃんにチケット渡さなくて正解だったね」
チケットを渡されるはずだった昨日、千鶴はうっかり部室に行くのを忘れていたのだ。
「何でですか。千鶴忘れたりしませんよ」
「いやあ、忘れるよ。絶対忘れてた」
「忘れないですから、そんな大事なもの!」
からかわれつつ電車に揺られて二十分弱。
ようやくコンサート会場近くの駅に到着した。

