「あなたがいる場所の真後ろが
千鶴……じゃなくて私の靴箱で……
って、あなたこそこんな所で何してるんですか」



急ぎすぎてすごいスピードで話してしまった。
たぶんこんな速さで喋ったのは人生で何回かしかない。



「何してると思う?」


寝ていたのは分かった。

というか、何をしていたかということには正直言って興味がない。

とりあえずそこを退いてさえくれればいい。



「いや、答えたくないなら良いです、すみません」


「いやいやいやー!
聞こう、そこは聞いてよ」



……面倒な人だな

人当たりの良い優しい顔で笑う彼を見て千鶴はそう思った。