そしてやってきた土曜日。

緊張しすぎて眠れない、と思ったら意外と寝られてビックリした。


「服、とかちょっと頑張るべきなのかな」

考えては見たものの、頑張れる洋服なんて持っていなかったので諦めた。

好きな人と出かけるというのに、この適当さはちょっとどうかとも思うが、ないものはしょうがない。

この潔さもいいのか悪いのか……。


「とりあえず、おかしくは無い。
忘れ物もたぶんない、よし」

と自分にゴーサインを出したはいいが、一番確認するべきの時間を見ていなかった。


「やばいっ、遅刻!」

鞄を肩にかけながら野々宮に電話をかけた。


「すみません、今家出ました!」


「どうしたの?! 始まるのはまだ先だから全然まだ平気だけどさ」


「時計見るの忘れてました!」


「はいはい、気をつけておいで」


電話の向こう側でクスクスと笑っている野々宮が想像できる。