慌てて追いかけたものの、全く会話がない。
やっぱり聞かれてしまっていたのだろうか。
なんとなく気まずーい雰囲気で野々宮の一歩後ろを歩いていた。
「どーぞ」
「どうも……」
ドアを開けてもらい中に入ったはいいが、話すことが見つからない。
そしてこんな時に限って野々宮も無言。
思い当ることは一つしかない。
意を決して口を開いた。
「先輩、すみませんでした。
そんなつもりなかったんです」
消え入るような声で言っても、野々宮は真顔でギターをいじっている。
「あの、先輩……」
「いいよ、気にしてないから」
気にしてないと言う割に声が低い。
そして口すら笑っていない。

