「俺の靴箱、そっちじゃないんだけどなあ」
不意に上から声が降ってきた。
「うっ……あ、えっーと」
言葉が出てこない。
隠れたこと、ばれちゃったかな、盗み聞きしてたと思われるかな。
そんな人だとは思われたくない。
考えていることが多すぎて上手く言葉にならない。
何か言ってしまったら、自分で墓穴を掘ってしまいそうだ。
「なにテンパっちゃってるの。
ほら、これでしょ? 探し物」
野々宮は小さく笑ってポケットから見覚えのある携帯を取り出した。
「うっかりしすぎ。
小山くんの域まで行ったら部室出入り禁止だからね」
何も言えない千鶴の手に携帯を握らせて野々宮は不思議そうに千鶴の顔を覗き込んだ。
「ちょっと、何ぼーっとしてんの?
部室行かない?」
「あ、はい。行きます行きます!」

