いつもよりボリュームの少ないポケットを気にしながら過ごして、やっと放課後。
携帯があるときは特に使うこともなくて、
無くてもいいと思うが
実際なかったら気になって仕方がない。
いつもは野々宮が来るのを靴箱や教室で待っている千鶴も
今日は先に野々宮の靴箱で待っていた。
さすがに教室に行く勇気はなかった。
まだ5分もたっていないのに時計を何回確認しただろう。
なんだかんだで待ち始めてから10分ほど。
イヤホンを付けて階段を下りてくる野々宮が見えた。
いつも笑っている口元も今は緩んでいなくて、軽く伏し目がちな目も真剣で
こんな真面目な顔の野々宮は初めてかもしれない。
そんな野々宮を見て胸が高鳴ったのは、こっそり無かったことにした。

