千鶴もそれからすぐに部室を出た。
鍵は一本しかないので、千鶴が後に部室を出た時は野々宮の靴箱に入れる約束になっている。
野々宮の靴箱に鍵を入れてから、千鶴は家に帰った。
家に着いて、制服のポケットに手を入れてから重大なことに気づく。
「携帯が……ない!」
慌てて考えられる所すべてを探した。
通学用のバックの中、制服のポケット全て、
ありとあらゆる物を床に広げて片っ端から探していったが、見つからなかった。
野々宮と連絡先を交換した時は持っていたから、家に置いていることはまずない。
……と、いうことは……?
「部室かーっ」
そう考えれば、確かに携帯をしまっていなかったような気もしてくる。
取りに行こうにも、今部室に出入りすると
見つかる可能性は低いが、見つかった時に言い訳はできない。
野々宮なら何か言い訳を見つけそうだが
残念ながら千鶴には見つけられそうにない。
野々宮の秘密の場所を教えてもらった分際で
その空間を壊してしまうのはとても申し訳ない。

