「俺、空気読むのとか苦手みたいだから
たまに違うこと言ったらごめんね」


「そうなんですか」


確かに空気が読めそうには見えない外見ではある。

失礼ながら、ぽわん、とした雰囲気が漂っているのがなんとなく感じられるのだ。


でも、さっきの言葉はあの短い言葉の中で
千鶴の心を見抜いているようだった。

本人には、そんな気もないのだろうけど。


ぽわん、としていても空気が読めなくても
大切な場所で相手の心に的確に言葉を
伝える能力があるのは
千鶴にはとっても心地よく、羨ましくもあった。



「ノリによく言われるから」


「それ、ちょっとわかるかも」


「失礼だぞー」


そんなことを言って笑いながら、千鶴の久しぶりの1人じゃない帰り道は続いた。