曲が終わった後、千鶴はたった一人のお客さんとして精一杯の拍手を送った。
二人は笑いながら「イェーイ」なんてハイタッチをしている。
「小山先輩めちゃくちゃ歌上手いじゃないですか」
「でしょ?」
「何で野々宮そんな得意げなんですか」
誉められた本人より嬉しそうである。
「さて、隣の部活が解散するっぽいから、そろそろ帰ろっか」
いつも、隣の部が解散するどさくさに紛れて部室を出ることにしているのは、
隣がいなくなると静かになってバレるから、というのと
隣の部の部員が多すぎて解散直後は廊下に人が溢れて紛れやすいから。
解散時刻がわかるほど、野々宮はここに出入りしている事になるが。
「じゃあ、かいさーん!」
野々宮のいい加減な掛け声で解散して、いつものようにこっそりと部室から出た。

