「とっても……とっても、良かったです。 聴けて、良かったです。 ありがとうございました」 しばらくして涙が収まってから、少しだけ顔を上げた。 そしてすぐに目を合わせないように頭を下げる。 「本当? 良かった」 野々宮の顔は見られなかったが、どんな表情をしているのかは声の感じでだいたい分かる。 そのくらい、一緒にいたのだ。 ずっと近くに。 「じゃあ、千鶴もう小山先輩のところ行ってきますね」 顔を見られないように後ろを向いて部室を出ようとしたとき。