初めて聞くその曲は野々宮らしい優しいバラードで、
恋の歌とも、友情の歌ともとれる歌詞。
そのメロディと歌詞と野々宮の歌声が
とてもよくあっていて
今まで野々宮が演奏した曲の中で一番好きだった。
たった何分間かの演奏がとてもゆっくりした長い時間に感じられた。
もっと長い時間、聴いていたいと思った。
「……知らなかったでしょ?」
演奏が終わった後、視線を外したまま照れたように小さく笑う野々宮。
「初めて、聴きました
誰の曲ですか」
「俺の曲」
「はい?」
聞き間違いかと思って聞き返したら
野々宮は口元に手を当ててニコニコ笑いながら
「だからぁ、俺の曲」
と答える。
その表情のせいで冗談か本当か分からない。

