授業終了のチャイムが鳴ると、千鶴は逃げるように教室を飛び出した。
またあの子に捕まったら面倒なことになる。
しかし次は昼休み。
そんなに長い時間逃げられるだろうか。
千鶴から興味を失っていてくれていることを切実に願った。
――結果的に、その子は興味を失ってはくれていなかった。
千鶴が教室の隅の自分の席で弁当を広げていると、さっきの子が満面の笑みで近づいてきたのだ。
今すぐ駆け出したい……。
現実問題、千鶴の足の速さでは教室を出る前に捕まるだろうが。
何て言うのが正しいのか……。
次は曖昧な苦笑いじゃ逃げられそうにない。
その時、天使の声としか言いようのない声が聞こえた。

