最後の一本を野々宮から受け取ってお礼を言うと、持っていた教科書で頭をコツンと叩かれた。 「千鶴ちゃん、前見ないと傷だらけになるよ」 既になりかけなのは野々宮には黙っておこうと思った。 「気をつけます……」 野々宮を見上げると彼は優しく微笑んで千鶴の頭を手で軽く叩いた。 「またね」 小山も軽く手を振られて、二人に向かって笑って振り返した。 と、こんなにのんびりしている暇は無かった。 とっくに姿が見えなくなっているクラスメイト達を追いかけるように階段を駆け上がった。