雨、のち虹




今思えば連れて行かれた先がココなんて怪しすぎる。

というか怖いし。


「こないだから聞こうと思ってたんですけど、
野々宮先輩は何でここの鍵持ってるんですか」


初めて会った時に一応自己紹介的なことをしたので
名前と学年は分かった。

第一印象は間違いなく悪いこの彼は
千鶴の一つ上。

部活には入っていなくて
この部室で勝手に音楽をやっている。

当たり前のように、勝手に。


「あー鍵?
一回だけ借りて合鍵作った」


「勝手に?」


「そりゃ許可なんか取れるわけないからね」