目を開けたとき、部屋が真っ赤に見えた。


ようやくそれが自分の目の色だと気づいた頃、意識もハッキリしてきた。


ゆっくり身を起こしたゼルトの額からポトリと塗れた白いタオルが落ちた。


それをゼルトは親指と人差し指でつまみあげてポイッと近くにあったタライの中に放り込んだ。


パチャッと音がして、水が跳ね上がった。


それを一瞥したゼルトはゆっくりとした足取りで部屋からでたが、リビングに行っても皆の寝室を覗いても誰もいなかった。


首を傾げつつもベランダに出てPOLをみたとき、みえた。


「……あのばか……!!」


苛立ち紛れにゼルトは部屋から飛び出した。


世界が真っ赤になる。


だからこの目は嫌いなんだ。


世界が死ぬ色だから。