「おっさん、ジュース1つ」

「あいよ」

青年は居酒屋のおじさんからジュースをもらうと、一人専用の椅子に座り、まわりの様子を伺いながらジュースを飲み始めた。

そして、聞こえた話題は、どれもこれも…………

「なぁ、まただってよ」

「あぁ。知ってるぜ。あれだろ?」

「そうそう。アレだよ」

「「c-wolf」」

「こえぇよなぁ。真夜中の暗殺なんて」

「けど、殺されてる奴らって全部指名手配の極悪非道人なんだろ?」

「そう考えたらただの民の俺たちにとっちゃぁ、いいことなのかもしれないな……」

「けどよぉ、あぁいう殺し方もどうなんだ?」

「あぁ……、確かにな」

「さすがに極悪非道人つっても、成仏を願いたいぜ」

c-wolfの話だ。

青年はジュースのコップをおじさんに返すと、その男たちの席に座った。

「なぁ、おっさんたち。その、c-wolfってのは、なんなんだ?」

突然進入してきた青年に男たちは驚き、飲んでいたビールを思わず吹き出してしまった。

青年はその吹き出されたビールを避けると、顔をしかめた。

「きったねぇなぁ。つーか、突然でてきたくらいで驚くんじゃねぇよ」

男たちは苦笑を浮かべながら、口の周りを自分の腕で拭うと、青年を三人で囲んだ。

「兄ちゃん、c-wolfを知らないっつーことは、旅のもんか?」

青年は、うん、と素直にうなずいた。

「おう。俺は昨日ここに来たばっかだ。けど、この町も隣の町もそのc-wolfっつー奴の話でもちきりでさ。だから、俺そのc-wolfって奴のことを今調べてるんだ」

すると、青年の目の前に座っていた男が慌てて言った。

「おいおい、あんた何歳だ?」

「まだ15だけど……」

「なら、餓鬼はc-wolfなんかに手を出すな」

「そうだな。c-wolfを調べることを許されているのは、この国の最高監視官であるPOL(ポル)だけだからな」

「そうそう。餓鬼が首をつっこんでいい問題じゃねぇんだ」

青年は、小さく眉をひそめた。

「でも、俺……」

その言葉を男たちが制した。

「あぁ、分かるぜ。よく分かる」

「それでもc-wolfについて知りたいんだろ?」

「仕方ねぇから俺たちが教えてやるよ」

「あ、あぁ……」

青年は何か言いたげだったが、男たちが強引に話始めた。