c-wolf

「威濡、落ち着くんだ。陽炎のように消えたりするのは、君も琥露もできる。訓練すればできることだよ。もちろん僕だって珠羅だって、伽羅だって出来るんだから」


それでも、初めての屈辱に威濡はイライラしているのか、いつもより舌打ちの回数が多かった。


それをみたレインは落ち着かせるように、ゆっくりとした口調で威濡に言った。


「威濡。君が苛つくのは分かる。けど、君が今するべきことは今回の事件なんじゃないか？c-wolfに見せかけた犯罪。このままじゃどれがc-wolfがやったことなのか、分からなくなっちゃうよ？」


レインの言葉に少しは落ち着いたのか、威濡は小さくうなずいて琥露を連れて部屋からでていった。


威濡と琥露の足が遠ざかったのを聞いて、レインは鋭い目で伽羅をみた。


伽羅はやんわりと笑う。


「貴方の言いたい事は分かりました。c-wolfを抹消して来い、でしょう？」


レインがフッと鼻をならすと、伽羅は首をコキコキとならした。


「ですけど……、今回は僕でも難しいですよ。なにしろ、c-wolfですからね」


逆に殺されちゃうかも、と伽羅は笑いとばした。


それでもレインは鋭い目をやめず、伽羅に言った。


「これは命令だ。威濡を馬鹿にしたc-wolfを抹消してこい。ただし、殺されそうになったらすぐに退却するんだ」


伽羅は小さく肩を竦め、


「了解」


と言って、窓から飛び出した。