「コイツも、c-wolfにやられたのか」


ガリガリと頭をかいて、威濡はゆっくりと棍棒にかかっていた腸をみて顔をしかめた。


「今回も、コイツを役に立てるしかねぇか……」


隣にいた琥露も小さくうなずいた。


「おい!鑑識!コイツを使って調べろ。血液やらDNAやらで誰かわかんだろ」


鑑識も、腸を調べることにようやく慣れたのか、すばやく作業を始めた。


それこそ当初は殺された場所3メートル以内には入りたくないと駄々をこねていた輩を威濡と琥露は強引に使っていた。


「にしても……、こいつもまた、極悪非道人なんだろうな……。c-wolfもヒドイことをする……」


「それはどうだろう」


突然後ろから声がした。


威濡と琥露は驚きで目を見張り、後ろを振り返った。


そこには、首にヘッドホンをかけ、フードを深く被っている華奢な体をした人物が立っていた。


どうみてもPOLの人員ではない。


しかも、POLの人員でも滅多に近づかないこんな悲惨な場所に余裕で立っている。


威濡は警戒し、低い声で言った。


「お前、誰だ。関係者以外立ち入りの札が見えなかったか?」


しかし、その言葉を無視して、言った。


「本当にコレをc-wolfがやったと?」


「……そうとしか思えないが。手口もなにもかも、一緒だ」


「そうだとすれば、POLもどうってことないただのゴミ会社だ」


カッと頭に血がのぼったのがわかった。


「んだとっ!!!!」


殴りそうになる威濡を琥露が止めた。


「そなたは何故そう思うのか?」


フードを深く被っているせいで表情もなにもわからない。


それが逆に不気味だった。


ただ、形のいい唇が言葉を紡いでいく。