「ねぇ、ハル。君は頭に花瓶をぶつけられてそれから先の記憶は無いの?」 「ん? ……そ、だけど」 「もしかして逃げたんじゃない?」 「……」 永久さんの声にハルの身体がびくりと震えた。 「甘い声がするほうに」 「……どんな声だよ、それ」 「そして、相手の正体が分かった瞬間に逃げたんでしょう?」 「……」 「魂だけになって」 すいっと永久さんの指が宙を切る。 うん、それは文字通り切り取られて薄い膜のようなものがパラパラと刻まれて剥がれ落ちていく。 そして、 「――ハル!?」