アンジュエールの道標


「それでお父さんが死んだと?」

「だ、だって! 普通ならそう考えるでしょう!? 現にそれからパパは1週間も家に帰ってこないし!」


そう叫ぶと永久さんは『そうかな?』なんていいたそうに首をちょっとだけ傾げて。


「なら聞けばよかったのに」

「……そんなの」


聞けるはず無い。

だって、もしもそうだったら――。


「そんな君の不安を引き出すのが目的だったのかな」

「えっ?」

「君の父親は生きてる」

「……」

「ちゃんと普通に出張中」

「……ホント?」

「うん、会社に問い合わせたし」

「……」