アンジュエールの道標



ベッドにもぐっても耳に届く声は憎しみしかこもって無い。

なんでこんなことになっちゃうの?

ほんの少し前まで二人は凄く仲良しだったのに。

私自身、失恋したばかりだったせいか二人の変わりようには絶望すら感じた。

どんなに仲良くっても、好きで結婚しても、最後にはこうなっちゃうんだって。


「あなたのお金なんて使って無いわよっ!」

「はんっ! どうだかな? これだから年増の女ってやつは――」


もう、止めて。

お願いだから――。


「なんですって――!?」


ママの金切り声のような叫び声の後、


ガツッ……


鈍い音と、


「ギャッ!」


誰かの呻き声が聞こえた。