看板は無い。 本当にここであってるの? どう見たって人の気配を感じない。 なのに庭は綺麗に手入れされてて、真ん中には大きなくすのきが天高く聳え立つ。 この家の周りはまるで森に囲まれてるみたいで……。 本当に同じ町内? ここから家ってどっちの方向になるんだろう? 「ひっ!」 ギィッと正面の大きなドアが開く。 「いらっしゃい」 そして、そこには彼とあの真っ白い猫が居た。