あれは夢だったはず。

今までのは全部夢だったのに。


「よかったね、目が覚めて」


その腕に猫は居ないけど、彼は夢の中で見たままの姿で。

ゆっくりとあたしのほうに歩み寄ってきた。


「日和田先生からの伝言です」

「えっ?」

「『お前は先生に向いている』だそうですよ」

「……」


その台詞に、

また涙が溢れて止まらなかった。