「そうか、美香子は先生になったのか」 「……はい」 そう、あたしは教員になった。 あたしの両親も教員。だからなった、ってわけじゃない。 教員になりたいって思った理由は――。 「なら、なんでこんなところに居る?」 「……」 「辛いか?」 「……」 それには無言で頷いた。 『学級崩壊』 そんな言葉はテレビの中だけだと思っていたのに。 ううん、実際にあるのは知ってた。 でも、自分が受け持ってる学級がそんな琴になるなんて思ってもみなかった。