「これを目印に逝くといい」


そう言って彼が取り出したのは一枚の真っ白な紙。

それが彼の手の中でカサカサと形を変えていき……、


バサリと音を立て羽ばたいたのは真っ白なカラス。


「さよなら」


その声に一志は飛んでいくカラスを見上げて――


風に吹かれるようにふわりと飛んだ。


真っ白なカラスを目指して。