彼は腕に猫を抱いたまま、彼女の前を通り過ぎ橋を渡る。 日はゆっくりと沈み空の色をオレンジから紫、そして藍色へ色を変えていく景色。 その中で彼はひとつため息をついた。 「いい加減、重いし自分で歩いてよ。白夜」 彼の声に白夜と呼ばれた猫は欠伸をひとつしてまた彼の腕に体を埋める。 「ったく」 そういいつつも腕に抱いて彼は歩く。 「にしても、困ったなぁ」