アンジュエールの道標


手の中にあった水は無数の丸い珠となりふわりと宙に。


「みんな、あるべき場所にお帰り」


奴がそう声をかけると、湖の底に沈んでいた魂が浮き上がり、その珠の中に。

そして雲の切れ間から降り注ぐ陽の光に導かれ、天を目指し昇っていった。


「少しは楽になった?」


にこりと人懐こい笑みに竜神も息を吐き出すのを感じた。


『すまぬ、妾としたことが我を失のうておった』

「仕方ないよ。天を闇が蓋してる状態だから」


差し込む光がわしに、そして竜神にも降り注ぐ。

あぁ、なんと神々しい。