そこに龍が住んでいるかいないのか。

それすらも判しることができないほど鈍くなった感覚。

すでに猫又なのか、悪鬼なのか。

もしかしたら精神を喰われてしまっていたのかもしれん。

それならば、もうここで――。

そう思った瞬間。


「この子は見逃して」


聞こえてきた声は間違いなく人のものであった。