「そっか。さんきゅな」 神宮司はそう言うと、わたしのおでこに、さりげなくキスを落として行った。 それは、初めて触れたもの。 初めて触れさせたものだった。 「……ばいばい」 自分の声が、ようやく来る春の暖かい風にかき消されたようだった。