檸檬の変革

六階のエレベーターフロアに夏樹を連れ出し、もう一度同じ質問を真剣に聞いた。
『千穂子来なかった?お願い捜してるの。』

私が本気で探しているのを分かった様で、夏樹も何時ものチャラチャラを止めて答えてくれた。
『今日は来てない。本当だよ。でもあの子最近俺のダチといい仲になってる。あの子俺以上に軽いね。』

『教えてくれてありがとう。』と言いながら私はエレベーターのボタンを押した。

エレベーターの扉に向いて夏樹に背を向けた私は早くエレベーターが来る事だけを考えていた。

チン。
エレベーターが来た。
乗り込む私に続いて夏樹も入ってきた。
『下まで送るよ。』
私はエレベーターの壁に寄りかかって夏樹を見た。

扉はゆっくりしまった。

夏樹は私の寄りかかっている壁に私の頭を挟む様に手を置き、私の瞳を見つめながら言った。
『俺、初めてなんだよ。俺が声をかけて落ちなかった女の子。会えないと苦しくなるの初めてで、他の女の子で気を紛らわしても文弥の顔が浮かんで、どうしようも無くなる。俺、文弥が付き合ってくれたら、他の女の子要らないから。』

『……………ごめん。』
私はそれしか言えなかった。

夏樹は顔を近づけて来た。
私は敢えて抵抗しなかった。エレベーターが下まで着くまで私は夏樹のkissを受け入れた。