檸檬の変革

どの位寝ていたのだろう。
目を覚ますとあちき君と徹が来ていた。
文也はベッドにもたれて座って3人でバイクの話をしていた。
目を覚ました私に気づいた徹が私をからかった。
『お前寝言言ってたぞ。』
私は起き上がりながら反撃した。

『アニキじゃあるまいし、別れたヤツの名前なんかは言ってないと思うよ。』

徹は頷きながら言った。
『あの女は俺の良さを分かってなかったんだよ。』
私はニヤリと笑い言った。
『確かにアニキは底抜けのお人好しだからね。』

『文也!チーちゃんから電話よ!』
下から文也のお母さんが声をかけた。
文也はトントンと階段を下りていった。

私は床に座りバイクの話の輪に入った。

文也が戻って来て、着替えをし始めた。
『千穂子が駅に着いたから迎えに行ってくるわ。』

私は文也の声のトーンが何時もと違うのに気がついた。
不安な気持ちで文也の背中を見送った。