檸檬の変革

あちき君と徹が買い出しに行った。


私は文也の隣に座った。そしてガーゼを優しくなるべく痛くない様にめくった。
文也は私のする事を黙って見つめていた。

傷は洗浄されて所々深く擦れた場所があった。
私は黙ってその傷を見つめていた。

文也が左手で私の髪を触りながら言った。
『左手でも髪はとかせるよ。俺は大丈夫だから。』

髪なんかどうでも良いのに、文也の言葉で私はやっと緊張から解放された。

ガーゼをソッと戻し文也を見つめた。
文也の視線と絡み合う。
文也がゆっくり顔を近付けてきた…。


文也との初めてのkissの味は血の味がした。


2人は唇を触れ合っていた。優しい、とても優しいkiss。
そしてソッと離れた。

文也は指を私の髪に絡めて遊んでいた。
2人の秘密の時間が流れた。


ほんの数分の時間が私には永遠に感じた愛おしい時間。



私は2人の秘密をソッと胸に刻んだ。