檸檬の変革

空が白さと碧の混じった色になる頃、私は自宅を出てあちき君の家に向かった。


始発に乗り、駅から小走りであちき君の家に向かった。


バイクが数台並んだあちき君の家。
でも、静かだ。
朝早くに騒ぐわけにはいかないけれど、何時もと違う。
胸騒ぎがした。

静かに玄関の扉を開けた。
靴が所狭しと散乱している。そこに無理矢理自分の靴を脱いでリビングに向かった。
扉を開けると、あちき君のベッドに寄りかかって文也と千穂子が並んで座っていた。

擦り傷だらけで…………。

文也はあちき君のタンクトップを着ていた。
右半分、肩から指先まで皮が擦り剥けてガーゼにまだ血が滲んで広がっている。
足も右膝の肉が削られているみたいで、まだ出血している。

千穂子も右半分擦り傷だらけだが、文也程では無いが、様子がおかしい。


あちき君は怒りを露わにして苛々していた。
徹はションボリしていた。

私は独り言の様に言った。
『どうして………？何があったの…？』


徹が私の腕を掴んであちき君の家から土手に連れ出した。