檸檬の変革

『ただいま。』と呟いた。
その言葉に違和感を感じた。
『ただいまは!?』とヒステリックな声が聞こえた。母だ。
私は足早に自分の部屋に入った。
母は喚きながら部屋に入って来た。


私の耳は母の声は届かない。
雑踏に消える文也のバイクの音を探していた。


母は私の態度に諦めて荒っぽく扉を閉めて出て行った。

家族が寝静まった真夜中。
私はベランダにソッと出て、煙草を吸いながら空を見上げた。
小さな小さな星が消えそうな光を放っていた。
今頃文也達は海に行ってる頃だろう。


自由になりたい。
何の柵も無い所に行きたい。


溜め息混じりに煙を吐き出し部屋に入った。



後数時間で夜が明ける。
朝一であちき君の家に行こう。