「…………まだ何も知らぬだろう」
男はすぅっと手を上げて黒装束の2人に手を伸ばす。
「お前等は黙っておれ」
「…………ハ…」
「御意」
2人はおとなしく後ろに後退しながら桜羅をみていた。
「桜羅は紅葉の家と分家と言うことを聞いたか?」
男はそう問いかけながら桜羅の方へ足を進める。
桜羅を守る様にして囲む幹部達。
総司は渋々頷いた。
「その分家は3つあった。
その1つが我の家」
総司は目を見開く。
分家と言うことは、治癒能力があるのだ。
それに、血縁関係に当たるのだ。
「桜羅は舞桜の神。
我等の象徴なのだ」
棗と言う男は呟きながらまた一歩進みでた。
「おとなしく渡さぬのなら、
力付くで貰うまでだ」
その言葉で片手を上げ、前に手を降る。
ソレが合図のように後ろの2人は走り出す。
目にも止まらぬ速さで駆け抜けた2人は、あり得ない姿になっていた。
「グルル…………」
「グル…」
2人の口からは長く鋭い牙が覗き、
手の爪は黒く長くなっていた。
「あやつ等は代々私達に仕えて来た
鬼族の末裔だ」
完璧では無いがな。
と後で付け足しながら2人を見る棗。
「…………グワァっ‼」
鳴き声と呼ぶに相応しい声を出しながら2人は幹部を蹴散らす。
『ーーーー静止』
途端、ピタリと止まった2人。
凛とした声は桜羅のもので、その場の全員が目を見張る。
『何だ、お前か。
私の命に己の命を分けたのは』
桜羅はウンザリ、と言うように棗に目を向ける。
幹部達は桜羅が起きた事に目を見張っていたが、
敵は言で桜羅が2人を抑えたのを不思議がっているのだろう。
それに、気づいた桜羅は鼻で笑い、
『言霊位は操れる』
と言った。

