『ついてこい』 返事を聞かずそのまま歩き出すと、男はおとなしくついて来た。 「ほっといていいのか」 ここのヤツに比べて大分小さい声と、静かさに関心する。 『いい。いつものことだ。 それに、その腕も布を当てただけだろう。』 血が着物に薄らとしか滲んでいないのを目にすると、一応手当はしてある事が解る。 「………お前すごいな」 『………お前は意味がわからん』 私が呆れながら言うと、男はクスクスと、初めて笑った。