大好きな君へ




僕はその言葉を聞いて固まった


俺は大事なことを忘れていたようだ


よく考えれば分かることだろう…


彼女の新しい『恋人』の存在



そりゃあ、あれから随分と時間が経ったんだ
彼女ほどの美貌を持っていればすぐ恋人はできるだろう



それなのに自分の気持ちだけで彼女に逢ったりして、その先どうするつもりなんだ?



僕のそんな考えを知る由もない彼女は
もちろん存在自体も気にすることなく
花屋から鼻歌混じりで出ていく



僕は追いかけようか迷っていた



けれど店主が座り込んでいる僕の足元を、買わないなら出ていけとでも言いたげにホウキで世話しなく掃き始めたから



僕はそれに追い立てられるようにそこから立ち上がると、仕方なく再び彼女の後ろ姿に向けて歩いて行った