大好きな君へ




そんな彼女のさっきと違うところと言えば
彼女は先程より少ないヒマワリを抱えていて
隣にはそのもう半分を持った青年が立っている



その青年はとても優しそうな笑顔で彼女を見つめていた



ああ、きっとその人が新しい恋人なんだね



僕よりずっと背が高くてガッチリした肩幅は、その優しそうな笑顔とは反対に何かのスポーツでもやっているのだろうか?っと思わすほど屈強で



とても体力だけが取り柄の僕なんて敵いそうにない
まあ、そんな勝負まったく挑まれていないし
彼女を見ればどちらに軍配が上がるかわかりきっている



だって彼女もまた優しそうな、いや…愛しそうな瞳で彼を見つめていたから



そして暑い中にも係わらず、二人は寄り添うように再び向こう向きで歩き出した



僕は再びスパイの真似事を再開する



さっきまでは楽しかったこの行為も、背中が二つになって
楽しそうにその背中が小刻みに揺れるたび、胸が張り裂けそうに痛い



僕の大好きなヒマワリを持って
僕とは違う恋人の左側に立ち
彼女はどこに行くのだろう



まだ付いていく意味はあるのだろうか?



そんな疑問を抱きつつも僕は歩みを止めることはなかった



単純にそのヒマワリの行方が知りたかっただけかも知れない



暫く歩くとある場所で二人の足はピタリと止まった