「……どうしたんだ、夏希」

「どうしたもなにも、これしか無かったんだよ」

「そ…そうか、じゃあ仕方ない…な」

「ひきつってますよ?」


驚く兄ちゃんの目の前には目玉焼き。

冷蔵庫を見たら卵しか無かった。

もうちょっと気を利かせてスクランブルエッグにしたら良かったかな…?

白いお皿にでかでかと乗っている目玉焼きを見て後悔する。

兄ちゃんはパソコンを閉じて目玉焼きを黙々と食べ始めた。


「……」

「……」

「…うまいな目玉焼き」

「…うん」


兄ちゃんはそう言いながら笑顔を向けた。

目玉焼き一つで笑顔になれるなんて…幸せな人だな。

可笑しくなってあたしも笑った。