「はぁ……」

「ルーン?何してるの?早く来なさい」

桟橋に佇む女性に、年老いた女性が話し掛ける。

「分かってる。……でも、もう少し。此処に居させて……」

「直ぐに来なさいよ?」

ルーンと呼ばれた女性は、振り返りもせずに返事をし、愁いを纏わせた眼差しで、海を見詰め続けた。