本日は大晦日。

本当は和希と年越しをしたかったんだけど……


『…正月ぐらい家族と過ごせ。』


と言われ、家族で正月を満喫中の俺。


「裕真、ちゃんと食ってんのか?」
「さっきから食ってるよ。」


ほろ酔いの父。


「お兄ちゃんは痩せの大食いだもんね。」
「うるさいっての」


母を手伝う妹。


「栗きんとん出来ましたよ。」


おせち作りに忙しい母。


家族といるのは楽しい。
落ち着くし、不自由もない。


でも………


頭の中では和希のことばっかり。


だってさ、和希はあの家で…

誰もいない静かな部屋で…


今年の終わりを迎えるんだ。



大学生なんだし、和希は何とも思ってないかもしれないけれど……


やっぱり何か寂しいよな。



「――母さん、この料理もらっていい?」
「どこか行くの?」
「和希のとこ。アイツ一人じゃ可哀相だし。」


パックにおせち料理を詰めて、俺は家を出た。


家族は大切。


でもそれと同じぐらい、和希のことも大事なんだ。